3rdAlbum「新居」Bandcampにあるエッセイ的なの纏め

新居 

2020年3月末。新居へと引っ越した。

何かを求めていた。新しい世界。新しい何か。変化。
2019年4月中旬に別れを告げられて以来、変化を求めてきた。

2020年9月。
現在地点で出した答えは何の変哲もないものだった。
でもそれでよかった。

1.Intro 2020/3/25 
誰も来なかった。

他の奴らのインスタグラムでは涙して友人を送る姿が、滑稽に映し出されていた。
北海道から旅立つ俺のこと等、今後関わらない俺のこと等、きっとどうとも思っていないのだろう。
でも、それでいい。
見送りに来られたとて名残惜しくなるだけであって、彼らもその性格をわかっての事だったんだろう。

そう言い聞かせて新千歳空港のロビーを歩く。
「今後もよろしく」という一言を言えなかった後悔を胸にして。
2.旅立ちの日、お前らに 
いろいろあった、で纏めることのできないくらいの生活であった。
入学して2年目で留年した友達。3年目で留年した友達。そのまんま学校をやめて地元に帰った友達。
結局、毎日つるむ人間は6人から4人に減った。
自分の事で手一杯になる俺らは置いてきたやつと疎遠になっていった。
全てが終わった今だから思うことだが、きっとお互いに子供過ぎた。
少しだけで良いから今迄薄情気取っていた人間の、ちょっとした戯言を、2年間・3年間・4年間一緒に過ごしたお前らに。

どうか。
3.skit~到着~ 
アナウンスは聞き逃した。
起きた頃には、すでに車輪は地に足着けていた。
飛行機の中から出ると、北海道ではうすら寒いとすら感じていたコートが、暑く感じた。
旅立つ前に義理の姉から選んでもらったコート。脱いでは歩けなかった。

もう少しだけ北海道民でいようとした
4.HANEDA 
エレベーターを見るとふと思い出す。
昔付き合っていた人の事。
俺たちにとって羽田空港は、別れの場所だった。
若かった俺たちは別れが来るたびに泣き、少しだけで良いと唇を求め人気の無いエレベーターを乗り継いでは時間を過ごしていたものだ。

ふと、あいつを纏っていた柑橘系の匂いを思い出した。
苦しさから逃げるようにロビーを歩いた。
5.自炊の民への道 
料理。
それは、むずかしいもの。
6.skit~狐~
寅「どんな曲を作っか。」
狐「そうね、上京したことに関してかねぇ」
寅「つねちゃんは東京に関して何を思ってる?」
狐「新宿は無機質で好きじゃない。池袋は好き。そんくらいかな」
寅「俺は 南口(北)みたいの凄い腹立つ。」
狐「でも、総じて好きでも嫌いでもないな」
寅「そうだね、俺もそんな感じ」
狐「曲にしづらいな」
寅「いや、逆にそれでいいんじゃない?それをまとめ上げれば一つの形になるしょ」
狐「なんか追加注文する?」
寅「鳥皮頼んで」
7.寅狐上京録 feat.狐吉 
まさかこんな日が来るだなんてことは、白黒のボールを共に追っかけていたあの頃の俺たちは想像もしない。
中学の部活の顧問に共に恐怖していたあの頃の俺たちは想像もしない。
この高校はクソだって互い言い続けたあの頃の俺たちは想像もしない。

俺らはいま関東にいる。
そして、曲を作っている
8.ギャラクシーロブサンド with kaipyopyopyo 
ずっと自分を抑え込んでいた。
何か違うって思っていた。
ゼミの飲み会・二次会・馬鹿みたいに酔い道中で土下座。
何をしても自分じゃない気がしていた。
こんな日々がはやく終われば良いと思ってた。

そんな日々が終わった今。
今の日々が死ぬまで続けばいいと思っている。
少しずつ変わっていく。
9.Chat...
システムが入室を告げる。
SNSに人を吸い上げられ、ついていけなくなった絞りかすが残ったこの世界。
ここに戻ってきたいとは思わないが、ここは紛れもなく寅吉の故郷だ。
自分の好きなキャラをイメージし、設定を練りこみ、創り上げた。
何かを創造すること自体、きっとあの時が初めてだった。
10.騒音苦情が来た! 
寅吉「生活音が俺の部屋から出てるってなんで特定できてんだ?」
11.彼女が出来ない 
俺のせいじゃない。俺のせいじゃない。
きっと俺は悪くない。
そう悪くないんだよ。
世の中が悪い。
12.skit~回想~ 
ダサいことだっていうのはわかっていた。
自分から可能性を断ちたいと思っていた。
別れ際に、「まだ片思いに戻っただけだから」と告げたのも、正直ダサかった。
次の日の帰り際、あいつが改札に入ろうとしたところを呼び止めて、渡せていなかったお土産を渡したのも、正直ダサかった。
あいつの嫌いなことをして可能性をゼロにしようとし煙草を吸い始めたのも正直ダサかった。
あいつの嫌う俺になろうとしたことは、正直ダサかった。

全ての行動が自分の首を絞めていた
13.Untitle 
「恋は盲目」だって豪語していた。これは盲目なだけなんだってずっと言い聞かせた。なにをやってもあきらめのつかない自分を肯定するために言い訳を並べた。
でも違った。これは盲目なんかじゃなくて、ただ目を瞑って立っているだけだった。
少しだけ目を開いた。今ある世界・友達・音楽を感じた。
こんなにいとおしい物を無下にしてまで、嫌われる自分であるために生きる必要ってあるのか。

俺はあいつがいない世界に、片思いした。
やっと、生きていける気がした。
14.Outro~2020/08/08~ 
その日は順当に行けば5年目の記念日になるはずだった。

この日は0年目の記念日になった。
制作活動をする者たちで集まり、一つの計画を企てた。
寅吉として、何かに入った。

ここからだ。
昔名乗っていたTrYじゃない。
Chatで名乗っていたイエーイでもない。
寅吉の生活が、ここから。
15.独り暮らし 
いろいろあった、で纏めることのできないほどの生活がここにあった。
いろんな人に会った。
いろんなものに触れた。
変わろうと願っていた俺はどうなったのかなんて、今はどうでもよかった。
もう変化に囚われない。変わりつつ、変わらずにいる。

それでいい。



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